あつまれ、高専のなかまたち!!KOSENメディアラボ

あつまれ、高専(KOSEN)のなかまたち!!
私たち一般社団法人KOSENメディアラボは、高専生、高専卒業生、高専関係者、応援してくれる方が繋がる最強のプラットフォームを作るべく、2018年6月に誕生しました。私たちは、会員になってくださった皆様がつながり・知識・情報・自尊心・モチベーションを得られるようなプラットフォームを作るべく、日々活動してまいります。

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取材者の声

全国の高専に関わる事や高専に関わる人たちを研究し、見て行こうと立ち上げた会社です。皆さん、士気が高いですよ。

【 高専とは? 】

高専とは、高校と短大が合体したような5年制(商船学科は5年半)の高等教育機関です。主に理系(一部文系の学科あり)の専門分野を低学年の頃から触れることができます。さらに、高専の敷地内には「高専専攻科」(以下、専攻科)という大学3、4年に当たるところもあり、専攻科を修了すると「高大一貫校」のような形で7年間高専に在学していたことになります。ちなみに、高校+短大のような5年制の高専環境は、専攻科に対して「本科」と呼ばれています。



日本全国には57校(国立51校、公立3校、私立3校)62キャンパス(国立55キャンパス、公立4キャンパス、私立3キャンパス)の高専があり、学科は主に工業系(機械系、電気・電子系、情報系、物質・材料・生物系、土木建築系等)、商船系、文系(経営系、国際流通系等)があります。1キャンパスにつき、大体3~5学科、1学年は約150~200名ほど在学しており、日本全国では1学年につき約1万人の高専生がいます。中学生のおよそ1%が高専に進学するイメージです。

複数の高専がある都道府県もあれば、逆に高専がない県もあります。高専事情に詳しい家庭は、例えば、長男は福井高専、長女は石川高専に行かせ、寮生活をさせることもあります。

国立の高専は、独立行政法人国立高等専門学校機構の管轄のもとで運営されていますが、KOSENメディアラボでは国公私立関係なく高専を捉えています。

【 高専の特徴 】

以下は、(自称)高専生態学者の新城が思う「高専の特徴」について記載します。あくまでも参考までにお読みいただけると幸いです。

特徴1:変わった人たちの集まり
高専生および高専出身者は、個性的で何かに秀でる人?(俗にいうオタクあるいは変人)が多いのが特徴です。これはやはり、専門分野に特化した教育がされるのもありますが、それ以外にも、

校則・校風が普通高校よりも緩い
中学時代からの友人が少ない⇒新たな自分を出すことに戸惑いが少ない
上記ゆえに(?)、出る杭が打たれるケースは少ない
センター試験がない
上記ゆえに、教職員もセンター試験対策を気にせずに講義ができる
教職員も変人と思われるような人が多い
高専によっては制服がなく、髪型含めて自由の場合が多い
2年次からバイク通学、4・5年次および専攻科から車通学可能な高専もある
特に国立の高専には寮があり、親から独立した学生生活を送ることができる
……等々の理由が考えられます。いわゆる、普通高校よりも自由を感じられるような教育環境が、高専にはあります。

しかし、その個性を高専あるいは高専出身者として公にする機会は少なく、高専の内輪のコンテスト止まりであったり、フットワークが軽い高専生あるいは意識高い系の教職員のそばにいる高専生でなかったりすれば、高専の外部環境で脚光を浴びることはほぼありません。上下関係を気にする高専では、高専生は専攻科生も含めて「偉くない立場」として見られ、活動・活躍へのサポートが乏しい場合もあります。それに加え、特に国立の高専は辺鄙な場所にあることが多く、貴重ながらも全体数の少ない学校のため、企業や大学の関係者の足が遠のきがちです。さらに、大学編入や大学院進学をすれば最終学歴に「高専」は残らず、蓋を開けてみたら高専出身者だったということもあります。

これらの問題点を解決するために、KOSENネットワークでは「高専の価値観の向上」を目的の1つとして掲げて活動しています。



特徴2:自由に自分のペースで好きなように勉学に励める
はい、前向きな表現をしました(笑) 別の表現をすれば「留年・退学制度がある」ということです。日本は留年・退学というと、負け組・劣等生等の悪いイメージがあるようですが、特に社会に出ると「年齢が異なる同期」なんてよくある話です。ゆえに、ダメージではまったくありません。逆に留年・退学はいいネタになる場合もあるので、捉え方次第だと思います。

参考までに、私の本科時代の出来事を話しておきます。



1年生の時
同じクラスに18歳の人がいました。彼はあまり授業を受けずに退学しましたが、その間に別の勉強をしていたらしく、大学受験に合格して大学に進学したという話を後ほど聞きました。

2年生の時
2歳年上の19歳の人がクラスにいました。その彼は昼休みになるとよく4年生の教室に行っていたので、寂しくなかった様子でした。ですが、翌年進学できずに退学しました。

3年生の時
仲良しの先輩が留年して同級生になりました。最初は違和感でしたが、すぐにタメ口になって同級生であることを受け入れていました。

4年生の時
クラスの上位だったクラスメイトが突然退学しました。絵が上手かったこともあり、絵の専門の大学に進学したようです。成績がいいからといって高専にずっと在学するわけではないのかと、驚きではありましたが、優秀な学生にも退学にOKを出した高専は自由な環境だなと思いました。



以上が本当にあったことです。ほかにも高専によっては「転学科」という制度があり、私の後輩が実際に転学科していました。

私は問題なくストレートで本科・専攻科ともに卒業・修了しましたし、留年したことに対してショックを受ける学生、教職員、および学生の保護者がいましたが、私視点では自身のペースで好きなことを勉強できるし、選択肢があったほうが学生にとってハッピーなのではと思います。ほかにも、お互いの許容範囲が広がりますし、友人も増えますし、意外と良いことばかりです。

特徴3:研究できる時間が多い
入学時は5年生の時から卒業研究をやることに不安を感じていましたが、非常にありがたいことだったと後ほど振り返ってみると思います。本科5年生、大学の学年でいうと学部2年生の頃から研究環境に触れることができ、専攻科も含めれば大学学部2、3、4年生の3年間研究ができるということになります。これは、実験・研究が好きな学生とすれば非常に美味しい話です。さらに、高専・学科によっては4年生の頃からゼミという卒業研究の1歩手前のようなことも経験できますし、本科1年生の頃から研究を行うことを承認している高専もあります。その話を聞いたときは、非常に羨ましく思いました……。

こちらでも、私の場合を紹介しておきます。



本科5年生(研究期間:1年間)
ナシのとある病気のことについて研究していました。見た目は生物学系の研究でしたが、内容的には有機化学の知識も必要でした。私がやりたかった植物関係の研究ではあったものの、どちらかというと薬品や有機溶剤を多く扱っていました。

専攻科時代(研究期間:2年間)
作物の病気・障害を自然の動植物の力でできないかを研究したいと思い、生物農薬に関する研究を行いました。木くずや下水処理場の微生物を業者から提供いただき、日本の土の中に普通に生活していてかつ作物に良いものをもたらす微生物を増やしながら、コンポストというもので土づくりを行っていました。専攻科時代の研究分野は、どちらかというと農学に近い生物学でした。

大学院時代(研究期間:2年間)
大学院のことなので高専時代の経験ではありませんが、修士課程の2年間で生態系の研究を行っていました。具体的にいうと、湖の生き物について、この生き物がいるとほかの生き物あるいは湖全体にどんな影響を与えるかという内容でした。大学院時代よりも自由度が低い高専環境のほうが集中して研究できたような気がしますが、3つのやや異なったジャンルの研究を計5年間経験したことで、卒業後の進路はどうすべきかを模索し、じっくり考えられたような気がします。



上記のように5年間研究を経験した後、私は科学の知識を世の中に生かすことよりも人脈構築および人脈交流のような、人と関わる仕事のほうが自分に合っていることに気づき、現在に至るという状況です。人によっては「もったいない!」と感じると思いますが、何かに対して目的を設定し、それに向けて試行錯誤するという感覚や、その目的への挑戦で何度も失敗することは当たり前という考えは、今も様々な場所で生かされています。

今後の高専は共同研究を通じて、高専生自身がもっと高専の外(大学・企業・地域の方々等)に触れる機会を増やしたほうがよいのではと思います。大学生との違いを感じたり、高専環境以外の環境・感覚を知れたりという経験を現役の高専生時代に行うことで、将来への不安・戸惑いが少しでも緩和されるはずです。共同研究が実現できなくても、あらゆる学会や科学イベントの交流会や懇親会になるべく多く参加し、他の参加者と交流することをオススメします。その中で高専や卒業研究の話をすると、大抵は高専生であることや低学年の頃に研究していることを褒められ、いい気分になります(笑)



特徴4:卒業後の進路先は主に「大学編入学」「専攻科進学」「就職」、それから……
一般的にはあまり知られていない内容かと思いますが、高専卒業後の進路先は、大学編入学、専攻科進学、就職の3つに分けられます。が、起業する高専生もいます。進路先は、その高専、高専生および高専生の教職員・保護者がどのくらいの情報を持っているかが1つのキーになります。言い換えると、

その高専あるいは他の高専に在籍していた卒業生がどんな企業・会社および大学に就職あるいは進学しているか。
その高専生が自ら進路先について詳しく調査しているか。
高専生の教職員・保護者が高専生に多様な進路先があることを知っていて、その選択権や決定権を高専生に委ねているか。
上記3点が現時点では重要かなというところです。おそらくよくわからないという方が多数だと思うので、より詳しく解説しますね。

まず1番について、高専生や高専教職員の方々にとって過去の先輩方がどのような進路を歩んだかが大きなポイントになっていきます。なぜなら、その企業・会社はおそらく高専生にとってよい待遇をしてくれるであろう、あるいは高専生のレベル的にこの大学までは行けるであろうと分かったほうが「楽!!」だからです。高専生および高専教職員は、大学よりも比較的外部に接する機会が少ないからか、少しセンシティブなところがあるような気がします。